第2章 父親(おとん)の暴力

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「なにこれ、すっげーいい臭いするんやけど!」  やんちゃそうな大きい声を発し、つまみ食いしようとする一番末っ子の優也(ゆうや)の手を、昴はすかさず菜箸で叩く。 「いてっ!?」  優也はその小さな手を慌てて引っ込めるが、もうすでに菜箸パンチをくらっている。 「いてて……もぅ、手加減ってのを知らないんだから……。っていうか何で今日こんな早かったん?」 くりくりっとした目をこちらに向け、ストレートに質問する優也。 「う゛っ、それは……」  殴られて腫れた頬を見せまいと、くるりと背を向け作りかけのスープをかき混ぜる昴。
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