第2章 父親(おとん)の暴力

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 その背中を弟たちは寂しそうに見つめる。いつか見たことのある風景に心が締め付けられる。 この感じ、前にもあった。  昔から、昴おにぃはおとんによく殴られている。最近はあまり見かけないが、たまに出来ているアザ…… 「おにぃ、大丈夫?」って聞くと決まってカラ元気の返事が返ってきて、ついに我慢出来なくなっておとんに殴りかかろうとしたら昴おにぃ全力で止めに来て…… あの時自分が気付いていれば苦しい思いさせなくて済んだのに。  昔の事を思い出し、申し訳ない気持ちになる大和。するとーー “ガタッ!”  突然、座っていた優也が立ち上がり「おにぃを殴ったの何処のだれや! 俺が殴りかえしたらぁっ!」そう言って勢いよく腕まくりをし、そのまま学校に向かおうとする。  しかし、今度は昴がそれを阻止する。 「待って」
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