第2章 父親(おとん)の暴力

7/19
前へ
/40ページ
次へ
 昴は優也の肩に手をおき、こっちを向かせる。  優也はゆっくりと振り返り、少し不機嫌な顔を覗かせた。  そんな反応も気に止めず、昴は「気持ちは嬉しいけど、自分でなんとか出来るから」そう言った。  その言葉に「本間かよ」と疑う弟たち。昔から《泣き虫な兄》だった昴に、二人は不安そうに視線を送る。 「大丈夫やって! 殴られても痛くないし、それにやられっぱなしはさすがに嫌やし」  そう言って少し腫れている頬をポリッと掻いた。確かに、傷もおとんのときよりかましに見える。ニカッと笑う昴に「なら、やり返せばいいじゃん」と優也がふてくされながら言う。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加