プロローグ

3/5
前へ
/40ページ
次へ
不思議な夢……  先ほど見た虎が脳裏に焼き付いて離れない。“オオオォォ……”という力強い雄叫びもまだ頭の隅っこのほうで響いている。 なんか妙にリアルやったなぁ……テレビの見すぎかな? 確か寝る前、タ○ガーマ○クをみてたような気がする……あれが原因? いや、ちょっとちゃうか…… !! あぁ……、なるほど。  何かに気がついた母は自分のお腹に手を沿わせながら呟く。 「もしかして、あんたがしたん?」  その質問に答えるかのように、お腹の中からトンッ……と振動がした。  「ふふっ……」その音を感じ頬を緩ませる母。ふと窓に目をやると、外はまだ薄暗がり……時刻は4時前。  鳥たちは早々と今日の旅支度をしている。 もう少し……寝よ……  ぼやけていく天井を見送りながら、もう一度あの虎に会うため瞳を閉じる。モゾモゾと寝るポジションを作っていた ー―その時、 「痛ーーっっ!」  身体を貫く痛みが走り、閉じかけていた瞼が反射的に大きく開かれる。歪んだシーツが、その痛みを表すかのように複雑に凹凸を成している。 ――こ、これは…… 「っー! う……産まれるっっ!!」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加