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ヒソヒソ……
「昴君の親って、焼き鳥屋さんなんだって」
「あ、知ってる! それってヤーコーのする店やんなぁ、おかん言うてたわ!」
「っ!! あほっ声でかいわっ」
「やばっ! ごめんごめん」
ヒソヒソ……
「とにかく、あんまり関わらない方が良いと思う……」
「うん、ウチもそう思う」
西成小学校の二階、4年B組の教室は今日も『しょうもない会話』が飛び交っている。
人の気持ちなんて考えもしないクラスメイト。特に女子は、自分より下の人間(正しくは下だと勘違いしているんだが)を悪く言い合わないと気がすまないらしい。
今回ターゲットにされたのは昴。
ほんの些細な雫が大きな波紋となって広がるように、噂は広まり昴を孤立させていく。
どんだけ自分勝手やねん。しかも聞こえてるし……それにヤ〇ザちゃう…………まぁ、それはあながち間違ってないけど。
教室の隅で、机に突っ伏した状態の昴はぶつぶつツッコミを入れている。もちろん心の中で。
目のやり場を気にしなくて済むこの素晴らしい体制を2、3日前に発見した昴。それからの休憩時はこの状態。
「お前……起きてるやろ」 気がつけば声が降ってきていた。周りには何人かの人影を感じる。……まぁ、ゆっくり寝させてくれるわけないか……
「おい、デブ」 「チービ」
「お前、キショイんじゃよ……」
「っていうか、はよ帰れよ」
あ゛ーーうっとおしい……
うつ伏せの状態でイライラしながらも、じっと動かない昴にしびれを切らした男子どもが呟く。
「無視しくさって……こいつ、しばいたろ。」
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