第1章 痛くない理由

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クスクス……  その姿を後ろで笑う奴がいた。振り向くと、同じクラスの『大翔(たいが)』が鼻にある大きなニキビを触りながら、つり上がった目をニヤァと歪ませ昴を見下ろしている。  その横には、いつも大翔の腰巾着で一緒にいる出っ歯の『章平(しょうへい)』と小太りの『拓真(たくま)』 まぁたこいつからか。相変わらず、気持ちわりぃ顔……  面倒臭そうに立ち上がり、パンパンッッと砂を払う昴は、トマトに水をあげる為再び歩き出した。 「おい。待てや!」  大翔は腰に手をあて大将気取りのポーズ。はい無視。  スタスタスタ…… 「おい!」  スタスタスタスタスタスタ…… 「っこいつ……あったまきた!」  自分が無視されたことに腹をたて言葉で虚勢を張るが、つきあってられないと先を行く昴。  ふいに、右の腕を掴まれ、昴の体がぐんっと後ろに引かれた。
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