scene 5

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「でも…ヤキモチを妬いてるって言えなかった。」 小さな声で言った私は俯いてしまった。 紗希さんの時も、真奈美さんの時も、本庄さんの時も、嫉妬したけど…ハルにその気持ちを口に出せなかっただけ…。 ヤキモチを妬いてると言えなかった理由は言えなくて ハルを責めているみたいだから…口ごもる。 「ん…そうだな。俺は泣かせてばかりだったな。」 ハルは私の頬を撫でて…寂しそうに笑った。 「ハル…」 私はハルを見つめる。 ハルは柔らかく微笑んだ。 「明日…スーツを買いに行くつもりだろ?」 「え?」 「膝下じゃ無くていいから…スーツ、俺に買わせて。」 「あ…うん。」 「ちゃーんと、ユズのスーツ、パンツスーツを選んでやるよ。」 ハルは意地悪く笑った。 「えー?パンツスーツって、それって、やっぱりスカートはダメって事じゃん。」 「ユズはまだ俺をわかってないねー。俺は言い出したら、絶対なの。有言実行なんだよ。」 ハルがゲラゲラ笑った。 楽しそうに笑うハルに、さっきのハルが見せた不安な瞳は消えていた。
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