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「でも…ヤキモチを妬いてるって言えなかった。」
小さな声で言った私は俯いてしまった。
紗希さんの時も、真奈美さんの時も、本庄さんの時も、嫉妬したけど…ハルにその気持ちを口に出せなかっただけ…。
ヤキモチを妬いてると言えなかった理由は言えなくて
ハルを責めているみたいだから…口ごもる。
「ん…そうだな。俺は泣かせてばかりだったな。」
ハルは私の頬を撫でて…寂しそうに笑った。
「ハル…」
私はハルを見つめる。
ハルは柔らかく微笑んだ。
「明日…スーツを買いに行くつもりだろ?」
「え?」
「膝下じゃ無くていいから…スーツ、俺に買わせて。」
「あ…うん。」
「ちゃーんと、ユズのスーツ、パンツスーツを選んでやるよ。」
ハルは意地悪く笑った。
「えー?パンツスーツって、それって、やっぱりスカートはダメって事じゃん。」
「ユズはまだ俺をわかってないねー。俺は言い出したら、絶対なの。有言実行なんだよ。」
ハルがゲラゲラ笑った。
楽しそうに笑うハルに、さっきのハルが見せた不安な瞳は消えていた。
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