血のニオイ

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私は、いつもとは違う通勤を始めることになった。自転車からバスに変えたのだ。 分かりやすく説明すると朝、いつものように自転車で通勤していると前方から人が走ってきて避けようとして転んだ。 自転車はガードレールの下を通過し、角で天秤のようにユラユラと揺れて川の中へ、篭に入っていた鞄は運良く落ちる寸前にネットごと掴んだことで助かった。 実は言うと、運は悪い方だと思っている。 自転車は使用不可能、会社に遅れると電話、携帯電話のその後の故障、会社で上司の小言を聞いたあとの病院、会社に戻ってからの大量の仕事。 残業することになり、新たな上司の小言。 「今日の占い、悪くなかったのに」 バス停で時刻表と乗るバスを確認しながらため息を1つ、入社してから初めてのバス通勤が慣れるか心配だ。 「早めに新しい自転車買わなきゃ」 少し待っていると1台のバスが停車する、番号を確認して乗り込み1つの席に座る。 「ねぇ、あの席って…」 外を眺めていると、次のバス停から乗ってきた女子高生二人が私を見ていることに気付いた。
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