第1章

3/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
乗組員A「クサナギ、戦闘区域を離  脱。安全圏内に入りました」 乗組員B「敵機確認出来ません。こ  のまま本国へ帰還します」   その様子を後方から見ていた艦   長・イチル。 イチル「了解した。各員、安全圏に  入ったとはいえ警戒を怠るな」 一同「了解」   そこへ乗組員Cがやって来て、 乗組員C「艦長」 イチル「……(頷き、乗組員たちに)  あとは頼む」   と、言い残し、乗組員Cとその   場を出て行く。 ○同・廊下   憤然と歩いていくイチル。その   後に続く乗組員C。 乗組員C「応接室にお通ししました」 イチル「……要求は?」 乗組員C「商談に来た、と」 イチル「(舌打ちで)……」 ○同・応接室   ソファに腰を沈めているマレノ   ブ。   そこへやって来るイチルと乗組   員C。 マレノブ「よぉ、艦長さん」 イチル「……(乗組員Cに)行って  いい」 乗組員C「艦長、しかし」 イチル「(目で訴え)……」 乗組員C「(察し)……失礼します」   出て行く乗組員C。   イチル、マレノブの対面に座る。 マレノブ「ずいぶんとお若いんですな。  それに、美しい」 イチル「わざわざ世辞を言いに、この  クサナギまで来られたのか?」 マレノブ「ちょっとした雑談だよ。こ  う殺伐としてちゃ色気がない」 イチル「用件を言え」 マレノブ「……あんたらの戦闘、見せ  てもらったよ。まぁ、なんつーか。  稚拙な戦術だった」 イチル「……」 マレノブ「全ての無人機を轟沈させら  れた後、無謀にも指揮艦であるこの  艦単体で特攻って――ギャグでやっ  てんのか?」   イチル、懐から拳銃を取り出し、   マレノブに向ける。 イチル「貴様っ!」   動じないマレノブ。 マレノブ「そういうのが稚拙っつーん  だ。クソガキ」 イチル「……」 マレノブ「この程度の挑発で、すぐ頭  に血が上る。あんた、向いてねーよ」 イチル「……」 マレノブ「……そういきり立つな。本  題に入ろう。俺は武器商人だ。ある  兵器を売りに来た」 イチル「……(拳銃をしまう)」 マレノブ「そうさ、穏便に行こう。お  互いの為にな。これは殺し合いじゃ  ねぇ。ビジネスだ」   イチル、憤りを抑え、話を聞く体   勢に。 ○同・医務室   頭に包帯を巻かれているトシユキ。   その側には白衣を着用した女・カ   スミ。 トシユキ「武器商人?」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!