第1章

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カスミ「マレノブだろ。有名人だよ、  悪い意 味でな。戦争がありゃ、す  っとんで来て兵器を売りつけてくる  男だ」 ○様々な国旗が翻るイメージ カスミの声「そもそも、世界の戦争を  無人機による情報戦、無人戦争と定  義付けたのが 奴の売りつけてくる  商品だ」 ○戦火を歩くマレノブのイメージ カスミの声「不思議なことに、奴が所  有する兵器はかなり高度なシステム  が組み込まれていてな。世界的に優  秀な学者が雁首揃えても未だ解析出  来ていないほどだ。まるで未来から  取り寄せた兵器のようだとも言われ  ている」 ○戦艦クサナギ・応接室   苦渋の表情を浮かべているイチル。   それを不敵の笑みで見ているマレ   ノブ。 カスミの声「それ故に、ふっかけてく  る金額も法外だ。悔しいが、兵器の  質は確かなものだ。あれが敵に渡っ  てしまえば、戦況は大きく変わる」 ○同・医務室 トシユキ「戦争に勝つには、奴に頼る  しかないということか」 カスミ「そう。そして奴から兵器を手  に入れるには資金力が必要だ。つま  り、最も金を多く所有してる国が一  番強いということだ」 トシユキ「……」 カスミ「金の有る無しで、敵にも味方  にもなる。それが武器商人マレノブ  だよ」 トシユキ「……」   カスミ、タバコをくわえ、火をつ   ける。 トシユキ「……今回の戦闘で、何人仲  間が死んだ」 カスミ「(憂鬱で)さてね……。途中  で数えるの、やめちまったから」 トシユキ「……」 カスミ「無人戦争だろうが、人は死ぬ。  従来の戦争よりも犠牲者が圧倒的に  減ろうが、結局人は死ぬんだ……不  甲斐ないよ。目の前で、こう、何人  も死なれちゃさ」 トシユキ「……」 ○同・応接室 マレノブ「――で? 答えは出たのか  い? 艦長さん。買うの? 買わな  いの?」 イチル「……」 マレノブ「……決断力もない、と。ど  うしようもねぇ艦だね、こりゃ」 イチル「……正直に言おう。私の一存  では決めかねる」 マレノブ「なんだぁ? あんたが一番  のお偉いさんじゃねぇのかよ」 イチル「戦艦クサナギの中、という話  ならば 私が最高責任者だ。しかし、  それほどまでの金額の兵器を手にす  るとなると、私の判断だけでは――」 マレノブ「なるほど。資金がない、って  いう話ね」 イチル「……」 マレノブ「まぁ、それなら、他の国に
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