第1章

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     ×     ×     ×   水葬が終わり、皆の前で話しているイ   チルの姿。 イチル「――我らは先の戦闘において多く  の仲間を失った。仲間の死の数だけ、悲  しみも大きい。しかしながら、ここで嘆  いていても死んでいった者たちへの弔い  にはならん。我らがなすべき事は、この  戦いに勝利する事である。決して犬死に  などさせてはならぬ。勝利こそが、我ら  の道。それこそが、死んでいった仲間へ  の何よりの供養ある!」   一同、「おぉ!」と叫ぶ。   決意の表情のイチル。 ○海上・港近く   戦艦クサナギがやって来る。 ○港   戦艦から下りてくる兵士一同。   その中、イチルの姿。   イチルの頭に石つぶてが当たる。 イチル「!」 乗組員C「艦長っ!」   民間人から投げ込まれたものだ。 民間人A「よく帰って来れたな! 馬鹿野郎  ども!」 民間人B「のこのこ帰って来やがって」   民間人から罵詈雑言を浴びせられる兵士   たち。 乗組員C「あいつら、言わせておけばっ」   乗組員Cを制すイチル。 イチル「気にするな。言わせておこう」   イチル、気にせず歩いて行く。   そこへ一台のトラックが荒い運転で民間   人の中へと突っ込んで来る。   逃げ惑う民間人。   運転席の窓が開き、マレノブが顔を出す。 マレノブ「よぉ、負け犬にふさわしい凱旋じ  ゃねぇか」 イチル「……マレノブ」 マレノブ「乗れ、新兵器のご紹介だ。あぁそ  うだ。あの参謀の奴も連れてこい」 イチル「……」 マレノブ「今にその仏頂面、消し飛ぶぞ」   上機嫌に笑うマレノブ。 ○ガレージ・外   人里離れた場所。巨大なガレージが一つ。   中へと入っていくトラック。 ○同・中   降りてくるイチルとトシユキ、そしてマ   レノブ。   奥からひょこひょこと出て来る少女・ミ   サキ。 ミサキ「マレノブ、遅い」 マレノブ「悪ぃ悪ぃ、ちっと迷った。この国  はどうも、道が分かりづらい」 トシユキ「……子供?」 マレノブ「俺の相棒だ。今回の新兵器を開発  したのも、こいつだ。ミサキ、物の準備は  出来てるか」 ミサキ「こっち」   ミサキ、ひょこひょこ歩いて行く。   それに続く三人。 ○同・格納庫   やって来るミサキとマレノブ、イチル、   そしてトシユキ。 イチル「(絶句で)これは――」
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