154人が本棚に入れています
本棚に追加
「……慰めてくれているの……?」
「さあな。……涙も甘露だ。加えてお前は魂が輝いている」
「……あなたこそ……その瞳……暁の空のようだわ」
「……お前は……」
そして、姫君が龍に頬を寄せて身を預けると、龍が戸惑いを浮かべた。
「この眼は……仲間からは血の色だと忌み嫌われている……お前は違うのか?」
「……綺麗だわ……それに……あなたは優しいのね」
姫君が微笑みを浮かべて龍にもたれる。最初の恐怖は消え、龍のぬくもりに、どこか安らいでさえいた。
龍は姫君から香る匂いに、天界のどの花にもないものと酔いしれた。しかも姫君は恐れも忘れて血の色の眼を暁の空の色だと言う。
「……気に入った……」
「え……?」
「これから毎夜通おう。そうして、お前を私の伴侶にする……」
それが、出逢いだった。
最初のコメントを投稿しよう!