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俺の呼びかけに、反応した羽村。
どんな顔をしているかと思いきや、彼女は歯を食いしばっていた。
こっちは心の内を伝えようと真剣だってのに、なんて顔だよ。
とはいえ、そういう仕草すら可愛いと思ってしまうのだが。
思わずふっと笑みをこぼしてから、穏やかな気持ちで満たされている俺は、羽村に囁いた。
「ミオの心もカラダも、欲しい」
「っ、」
息をのむ羽村は、きゅっと唇を噛み締めた。
瞳に浮かぶのは、俺のものと同じ、光。
触れたい。触れられたい。
体だけじゃなく、心にまで届くように。
絶対に叶わないと思っていた。
その願いが今、現実のものになろうとしている。
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