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「あーあ、傷ついた。ミオのカラダで慰めてもらわねーとな」
「なっ!?」
目を白黒させる羽村に、しゅんとした雰囲気を見せつけて、それから。
にやり、と目を細めて……その耳元に、そっと囁く。
「やさしくしてね、ミオ」
「やっ、何それちょっと待てえっ!」
「待たない」
即座に答えて、俺は再び暴れようとする彼女の手をひとまとめにしてやった。
悔しげに俺を見上げる羽村の頬を撫で、首を傾げる。
「俺は待ったよ、じゅーぶん過ぎるほど、な」
「はあ!?」
当初の予定では、できるところはすべてショートカットするつもりだった。
最短距離で、お前を捕まえる、なんて……そんな策略、いつの間にか吹っ飛んでいた。
触れれば触れるほど、その深みに嵌っていって。
狂いそうな嫉妬に苛まれて、でも一歩踏み出すことさえ怖くて、躊躇して。
その分募り続けた想いは、大きく膨らんでいった。
だから、もう待たない。待てない。
今すぐに、お前が欲しい。
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