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言葉を失った羽村は、目を見開く。
食いてーなと思ったあの頬を、あの日よりも赤く染めて。
そして次の瞬間……少しだけ、口の端を引き攣らせて、溜息を吐いた。
「……何様よ、まったく……」
「事実だろ」
即座に答えてやると、また羽村は絶句した。
お前からしたら、自信たっぷり、に見えるんだろーな。
俺はどうやら『オレサマ』ってやつ、らしーし。
本当は、心臓がばくばくいってる。
余裕ぶった態度でもしていないと、耐えられそうにない。
拒否される恐怖を乗り越えても、やっぱり夢なんじゃないかって思いそうにもなる。
でも、羽村はやっぱり、言い返してこないから。
これは現実なんだと、ホッとする。
心が繋がった今、これまで以上にもっと、羽村から離れられるはずがない。
俺が、一番よくわかっているんだ。
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