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「んっとに、アンタって……ああもう、いいや……」
何を諦めたのか、一気に脱力した羽村。
その理由はよくわからないが、まあいいか。
ふうん、と軽く首を傾げてやってから、俺は言った。
「そーか? じゃ、納得してもらえたところで」
すっと、再び耳元に唇を寄せる。
俺の呼吸が触れたんだろう、びくっと小さく反応した羽村に、にいっと笑って囁いた。
「イタダキマス」
「だからっ、そういうのが……っ」
羽村の言葉を飲み込むように、その唇を塞いだ。
同時に、服の裾から手を差し込む。
俺の指先がその素肌に触れると、また、羽村はびくびくと体を震わせた。
小さく、甘く、淡く、……確かめるように。
その肌に指を滑らせる。
心が、体が、歓喜しているのがわかった。
満たされていく。満ちていく。
これまでにない幸福感と充足感がわきあがる。
……羽村も、同じだといい、なんて思う。
少し荒く噛み付くようなキスを落とした後、一瞬の間に。
下唇を触れ合わせたままで、俺はにやりと笑った。
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