閑話

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 随分とまぁ、沢山降ったものだと、影里は一面に広がる雪原を見て思った。  はるか前方には、既に青ノ国が防壁の準備に取りかかっている。  「青ノ国はやはり、防御を固めるつもりですか‥‥」  「あの龍堂さんの事だから、かまくら作って中に引きこもりそうだけど」  元・青ノ国の者としての勘であるが。   「私達はどうしましょう」  青ノ国に比べれば人も物資も無い緋ノ国だが、戦でなければ深刻な事態ではない。  「ま、とりあえずこっちも壁と本陣の設置ですかね。かまくらとか、後は雪玉も沢山作りましょう」  「で、雪をかき集めて高い土地を作って、そこに本陣を設置します。本来なら高所に陣を構えるのは下策なんですけど、雪ですからね。滑りやすく、足場が悪いなら逆に上策です」  「あぁ、土地は緩やかに高くしてくださいね。坂に壁を三列に別けて設置して、やや高所から雪玉を投げつけて攻めてくる敵を追い返しましょう」  「本陣はうんと硬く、絶え間無く補強するように。遠くから襲撃があるかもしれませんからねー。攻めるのは後で。雪が凍るまで待って、氷になり始めたら雪玉に氷を仕込んで敵側を攻める準備をしますから。で、後は‥‥」  なんだ。何故自分はこんなにも真面目に‥‥?  「流石は影里さんです‥‥!」  「軍師様が本気を出されているようで‥‥これは私も、本気で鈴就様をお守りしなくては」  「おおおぉぉぉぉぉッ! 我等の気概は天下一ィィィッ!!」  そして士気の上がる緋ノ国陣営。  しまった。  もう後には退けない‥‥!
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