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どんな出会いをしたか、あまり覚えていない。何しろ伊織と幸永は生まれたときからの幼なじみであるからだ。
家も隣。両親同士が仲が良かったらしく、伊織は幼稚園に通わず両親が仕事の時は幸永の母親に面倒を見てもらっていたという。
つまり、家族ぐるみで幸永とは付き合いが深かった。そしてこの頃は確か、まだ幸永に一種憧れに近い感情を向けていた。何をやらせても完璧な幸永を己の目標に据えていた。
ただ、彼は不意に、"ゲーム"という存在に魅せられた。
その気持ちは伊織にも分からないでもなかった。ゲームは確かにやっていて楽しいし、時間もあっという間に過ぎる。現実では決して感じられない世界を感じることができる。
しかし、二時間もすれば目を疲れてくるし、腕も痛くなってくるし、お腹も減ってくる。伊織は一般的な少年と同じように、「ゲームは好きだが、好きなだけ」だった。
だが幸永は違った。何を間違ったのかゲームを心の底から愛してしまった。それも狂愛、と言えるほどの愛情である。
彼がどうしてゲームにどっぷりハマってしまったのか、ゲームのどこがそれほどお気に召したのか。そんなことは伊織には分からない。
何故なら、そんなことを尋ねたが最後、彼は目を輝かせてゲームがいかに素晴らしい文化であるか、そもそもゲームとは何か、それに飽きたらずゲームが与えるカタルシスなんかについてさえ熱弁するであろうことは明らかだからである。
伊織は幸永に無理矢理ゲームに付き合わされ始めてからというもの、普通に好きだったはずのゲームが怖くてたまらなくなった。ゲームと聞いただけで最近は蕁麻疹が発症するほど。
何より、日が昇るまでゲームに付き合わされるせいでろくに睡眠時間が取れない。低身長であることにかなりのコンプレックスを抱く伊織は、最も成長ホルモンが分泌されると言われる午後十時から二時頃にかけて自分が一睡もしていない事実に発狂しそうになるのだ。
女顔が変わらないならせめて身長を伸ばしたい。それならばまだ誤魔化しが利くのだ。高校生にもなって150センチ代なんて流す涙も枯れている。
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