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「呪いの試験問題は、どんな問題なんですか?」
男子部員が挙手して私に訊く。
都検(都市伝説検証部)で議題にあげた都市伝説が早くも効力を示し始めた。
『この問題が解けない生徒は、七日後に死亡する』呪いの問題。
「数学の問題だそうよ」
「数学? 俺、数学苦手なんだよなあ」
数学が苦手なのは、試験の答案を見れば一目瞭然、実際、浅丘遊人の数学の成績は毎回赤点なのだ。
私も数学科の講師な為に遊人の成績不審には頭を痛めて来た。
「私も数学は厭だ」
「あたしもよ」
何時も学校では仲良く連んでいる、花山美佳と青木沙織が口々に言う。
勉強なんてまっぴらご免だとばかりに遊び呆けている彼女達らしい台詞だ。
「どうしよう? 来週試験なのに――」
都検の中で真面目な本庄学が弱々しく声を発しながら、一人うろたえている、呪いの問題に関しては問題傾向とタイミングを合わせたが、却って恐怖を与えてしまったか。
「私が難しい問題教えてあげるから、大丈夫よ」
これが呪いの問題を吹聴した目的だ。
呪いの問題に怯えた所に、私に問題を訊きに来るように動かすサイクルを構築する。
そのサイクルの結果、最初的に、数学の成績だけでも自発的に向上させようと言うのが、
都検の第一の課題ではあるが、
この時、計画は間違い無く生徒の成績を向上させる確実なものだと、私はそう確信して疑わなかったが。
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