1人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい……」
「そう……ですか」
「その事について詳しく話があるので今そちらに向かってます。後三分程ですのでそこから動かないでください」
そう言うと電話は切られた。
しかし、あの爺ちゃんがねぇ……
何だろう......不思議と悲しくなかった。
何となく分かっていた爺ちゃんはそう長くないだろうなって。最後に会った時、たくさんの管をつけて寝ていた爺ちゃんを見てそう思っていた。
ふと爺ちゃんを思い出す。
俺の爺ちゃんを一言で言い表すなら
まさしく生きた幸運である。
有名なのは一枚だけ買った宝くじで一等を当てたのだな。
それから株をやっては爺ちゃんが買った瞬間急成長したり、
犬が吠えた場所を掘って大判小判を見つけたり。
とにかく爺ちゃんが金に困ったところは見たことがない。
今まで一回も労働をしたことがないから驚きだ……って
「それって最強のニートだよな……」
いや、確かニートというのは十五歳から三十四歳までしか呼べないから……
「まあ、どっちにしろ話を聞いただけならダメ人間だな」
最初のコメントを投稿しよう!