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ふと気がつくと、頭上からヘリコプターが飛ぶ音が聞こえた。
うるさいな……というかドンドン音がでかくなってないか!?
もはや騒音にも等しい音源を見つける為俺は顔を上げた。
上を見上げると見知った顔がいた。
「み、美代子さん?」
「……」
美代子さんは何も言わず、いやもし何か言っていても聞こえないだろうが、俺を見て微笑んだ。
するとヘリコプターからハシゴが降ろされる。
まさか、これで登れと……
そのまさかだった。
美代子さんはずっと笑顔のまま俺を見下ろしている。
はぁ……しょうがないか。
俺はハシゴの一番下を掴んだ。
「お久しぶりです。太陽様」
「ひ、久しぶり美代子さん」
い、意外とハシゴって怖いな。
俺が椅子に座ると美代子さんは扉を閉めてヘリコプターは動き始めた。
そういえば、
俺は美代子さんを見る。
やはりさっきまで泣いていたのだろう若干目が赤い。
そこから彼女の体に目がいく。
やっぱり、『これ』は変わらないのか……
彼女が着ているその服は当時はいつも見慣れているから気にはしなかったが……
「こんな時もメイド服なんですね」
「はい。これが私の私服ですから」
確かに爺ちゃんのメイドとして十歳の時から十年間働いてきた美代子さんにとってメイド服は私服かもしれない。
それにしても二十歳のメイドさんと二人暮らしなんて爺ちゃん……なんてうらやましい。
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