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「ああ、知らなかったのか?」
そう言う海斗の隣にはさっき助けた女の子が立っていた。
「あの…雨中 天満(うちゅう てんま)です」
ペコリと頭を下げた。
あー…この子が…
「まっ中等部じゃ会う機会もめったに無いからな」
そりゃそうか。
「じゃ俺たち帰るから」
そう言うと海斗は天満と一緒に帰っていった。
まさか、海斗に妹がいるとはな。
見送って俺も帰ることにする。
「よし!帰るぞ。咲、五月」
言って気づいた。
五月も生徒の的外れな回答を見た先生のような顔をしている。
「そうだね。…あれ?私はともかく何で金沢さんと一緒に帰るの?」
気づきやがった。
「い、いや!それはあれだ!」
いっそのこと全部話しちまえば楽なんだが五月の視線はそれを許してくれそうにない。
どうしろってんだよ。
「そうそう!五月のやつが貸して欲しい本があるからウチによりたいそうだ」
なんとか思いついた言い訳を言う。
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