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「いや、別に…」
「寒いよね?」
「だから…」
「寒いよね!!」
「はい…」
俺が頷くと咲はにっこりと微笑み。
「はい」
手を差し出してきた。
えっ?
俺が不思議そうに咲の手を眺めていると。
「もう、太陽君ってば…」
咲はそう言って俺の手を握ってきた。
さ、さ、さ、さ、さ、咲!?
今俺の手には温かくて柔らかい咲の手の感触が直に伝わってくる。
「これなら温かいよ」
おかしい。
五月までならともかく咲まで変だ。
というか何だこれは?
まるで俺がモテモテみたい…はっ!
俺は昨日美代子さんに言ったことを思い出す。
『あ~、一日でいいからモテてみたいな』
ま、まさか…美代子さん…
横を歩く咲と目が合う。
咲はすぐ真っ赤になり目をそらした。
やっぱり美代子さんの仕業か!!
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