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ふっと顔をあげた。
丸い目をいっそう丸くして、ヒロムがあたしを見ていた。
あ…。
どうして、ここで会ってしまうの?
笑いかけることも出来なくて、かと言って、声をかけていいのかもわからない。
だって、あたしとは友達になれないと彼は言ったのだから。
そっと、視線が外された。
あたしはヒロムの世界の住人にはなれないんだ。
どれだけの言葉があっても、あたしは、彼と話すことすら出来ない。
憶えてる背中。
今日も、あの日と同じだ。
憶えてる。
あたしは憶えてる。
呼び止めても、立ち止まってくれないって憶えてるから。
だから、そればかりに気を取られてしまう。
今のヒロムのこと、ちゃんと見てる?
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