そうやって進めばいい

21/24
前へ
/321ページ
次へ
ふっと顔をあげた。 丸い目をいっそう丸くして、ヒロムがあたしを見ていた。 あ…。 どうして、ここで会ってしまうの? 笑いかけることも出来なくて、かと言って、声をかけていいのかもわからない。 だって、あたしとは友達になれないと彼は言ったのだから。 そっと、視線が外された。 あたしはヒロムの世界の住人にはなれないんだ。 どれだけの言葉があっても、あたしは、彼と話すことすら出来ない。 憶えてる背中。 今日も、あの日と同じだ。 憶えてる。 あたしは憶えてる。 呼び止めても、立ち止まってくれないって憶えてるから。 だから、そればかりに気を取られてしまう。 今のヒロムのこと、ちゃんと見てる?
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

896人が本棚に入れています
本棚に追加