拝啓 父上様

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それはいきなりだった。 「肝試ししましょ!」 「「は?」」 五月の急な提案に俺と由衣は思わず聞き返す。 「だから、肝試しをしましょうって言ってんの」 五月はもう一回言い直すがもちろん俺たちもそんなことは分かっている。 「……何で肝試しをするんですか?」 由衣が聞いてる事こそ知りたいのだ。 「夏だから」 「「……」」 こいつに理由を求めるのは無理だな。 恐らく隣でため息をついている由衣も同じであろう。 というか、ここに来てまだ一日しか経っていないのに由衣はすっかり大空家の一員だ。 「じゃあ、行くわよ」 「今からか!?」 五月は 「今行かないで何時行くの?」 などと訳わからない事を抜かし、俺と由衣の有無も聞かないまま俺たちを連れて行く。 「で……何で俺たちまで呼ばれなきゃいけないんだよ」 いつの間に呼んだのか、火野、天満、海斗、土浦先生まで来ていた。
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