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「太陽!起きなさい!」
五月が俺の布団を取り上げるが俺は起きる気がしない。
「まったく、島に帰って来てからずっとこの調子」
五月はわざとデカいため息をつく。
けどこれもこいつの気づかいで少しでも俺を元気づけようとしてくれる。
「……あんたが落ち込んでも水野さんの記憶は戻らないわよ…………」
思わず零れた本音なのか五月は慌てて口を塞ぐ。
「そのセリフは反則だ……」
そんなことを言われたらまるで、
咲の記憶が戻るかもしれないって期待しちゃうじゃねぇか……
『どういうことだ?』
咲の病室を後にすると俺は美代子さんに尋ねた。
『私も医者ではないのでわからないのですが、もしかしたら……』
美代子さんはそこで言葉を濁らせる。
『もしかしたら、何だ!?』
つい言葉が荒くなる。
俺も意味がわからなくてどうしていいのかわからないのだ。
『水野様は太陽様のご両親を奪ったのは自分自身だと言って、精神的に追い込まれていました。…………それこそ自殺をするほどに』
『…………』
わかってはいるつもりだが、改めて言葉にして言われてあれが自殺だったのを思い出す。
咲…………お前それほどまでに……
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