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やっと授業が終わり放課後になっても雨はまだ降り続いている。
大樹はこんな防具が匂いそうな日まで剣道部に顔を出すし、彼方はどこにも行く場所がないってのに彼女とデートだ。
悠月は一人で帰宅路を歩く。
こんな日に外をうろつく気にはなれないし、濡れる前にさっさと家に帰ろうと足早に歩いた。
高台まで着くと雨は土砂降りで、まだ学校を出てそんなに歩いていないのにズボンはびしょ濡れになっている。
「あーあ、最悪。泥水で汚れてる。明日どーすんだよ……」
ひとりごちても近くに誰もいない。それに激しい雨が傘に打ちつけられ、何も聞こえなかった。
気分はどん底、もう何もかも嫌になり傘を放り出したくなった時、まさに全身ずぶ濡れの人が遠くに立っていた。
視界が悪い中よく見てみると、同じ学校の制服の女子だと気づく。
柵のすぐそばでこの景色を見下ろしているように見えた。
悠月は咄嗟にその子に向かってかけ出した。
雨に濡れて風邪をひくだとか、足を滑らせて柵の下に落下するだとか、もしくはこれから身投げするだとか、考えがどんどんネガティブな方に傾く。
先ほどまで泥水がどーだとか文句たれてたくせに、今はそんなことどうでも良かった。
ぜえぜえと荒い息を抑えながら声を洩らした。
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