第1章

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「……多分、付き合う」 「この、最低野郎!!」 「ごふっ!?」 直後返ってきたのは、罵倒と顎へのアッパーカット。痛みにうずくまりながらも、僕に怒りは湧かない。 その理由は、もう……。 「苦しそうな顔で何が付き合うだっ!思い残してる、そんな奴がいるんだろ!?」 もう、いい。 「捨てきれないんだろ!?」 ああ、その通り。捨てきれないから、もどかしい。あなたでさえ、それを埋める穴にはならない、慰め程度にしかならない、そんな大きな……。 「てめーを信じない奴はサッカーやる資格ねーって言ったのは誰?」 ……大きな存在。 彼女の言うとおりだ。僕はもう、資格は無い。だけど。 「だけど本当に好きなら……何故ここにいるの?」 ーー誰にも言ったことのなかった思い。悔しさ。諦念。郷愁。愛。誰にも知られたくなくて、だけど淋しくてーーでも結局嬉しくて僕は涙を流したのだと思う。 僕は、いや、俺は誰かに知って欲しかった。それだけだ。 サッカーが好きで、だからこそ嫌いな奴らが許せなくて、それでやめちまって……サッカーするのが怖くなって……。わかってる。わかってるとも。 ーー確かにこれは恋だった。
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