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「……多分、付き合う」
「この、最低野郎!!」
「ごふっ!?」
直後返ってきたのは、罵倒と顎へのアッパーカット。痛みにうずくまりながらも、僕に怒りは湧かない。
その理由は、もう……。
「苦しそうな顔で何が付き合うだっ!思い残してる、そんな奴がいるんだろ!?」
もう、いい。
「捨てきれないんだろ!?」
ああ、その通り。捨てきれないから、もどかしい。あなたでさえ、それを埋める穴にはならない、慰め程度にしかならない、そんな大きな……。
「てめーを信じない奴はサッカーやる資格ねーって言ったのは誰?」
……大きな存在。
彼女の言うとおりだ。僕はもう、資格は無い。だけど。
「だけど本当に好きなら……何故ここにいるの?」
ーー誰にも言ったことのなかった思い。悔しさ。諦念。郷愁。愛。誰にも知られたくなくて、だけど淋しくてーーでも結局嬉しくて僕は涙を流したのだと思う。
僕は、いや、俺は誰かに知って欲しかった。それだけだ。
サッカーが好きで、だからこそ嫌いな奴らが許せなくて、それでやめちまって……サッカーするのが怖くなって……。わかってる。わかってるとも。
ーー確かにこれは恋だった。
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