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「やれやれ、とんだバカンスだな……」頭を掻いて、「お前らと、まさか一蓮托生になるとは……これだから世の中は面白い!」不遜に笑った。
「……ッ」沖鳴が硬い表情でうなづいた。
「まったくだ」斎妃が玲瓏な声で笑う。
「カノン、お前が頼りだ。見えない屍魔をオレたちに指示してくれ」乱摩がコンバットナイフを手渡して言った。
「わかりました」奏音がナイフを握り、皆を見渡した。
島中の屍魔を相手に、たった4人で戰いを挑むのだ。それでも皆の顔に悲壮感は皆無だった。
「死ぬには良い日、かな?」乱摩が苦笑した。「お前ら、ガキの癖に良い面構えしてるぜ!」チュッと投げキスをした。
港からの坂を無数の屍魔が登って来る光景は、まるで地獄から這い出る百鬼夜行のようだった。
「そんじゃまっ、戦闘開始と行こうか!」乱摩が火の着いたタバコを投げた。
ジュボッ!と軽トラが燃え上がる。
パーキングブレーキが解除された軽トラが、坂道を疾走し始めた!
ハンドルが固定された車は、焔が逆巻く火車のようだ。
火車とは、悪事を犯した亡者を乘せて地獄に運ぶ燃える車だ。
まさしく、地獄からの亡者に向かって行く、火の車である。
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