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斎妃と沖鳴が船に飛び乗り、奏音と乱摩を見た。
「カノン、援護するからロープを切れ」乱摩が言った。
「はい!」ロープをナイフで切りながら、奏音が返事した。
「……もう少し」ギリギリと刃を当てるが、ロープは硬くなかなか切れない。
「はやくっ!」沖鳴が叫んだ。もう海は目前だ。
「ちぃ、もう弾切れだ」しかし乱摩は、銃身を握って屍魔の頭を破砕した。
ふわりっ──と身体が浮いた。燃え盛る車の前方から海にダイブした。
その瞬間ロープが切れて、奏音と乱摩は宙空に身を躍らせた。
〈バッシャーン!!〉
車が海に沈んでいく。しかし、屍魔は海までは追って来なかった。
船が無事に着水して、奏音と乱摩は船の縁にしがみついていた。
「大丈夫か!?」奏音と乱摩を船に上げながら沖鳴が言った。
「ふぅ」安堵の溜息を漏らす奏音と沖鳴。
「それではそろそろ、わたしが喚んだ霊と代わるぞ」斎妃が言った。
みるみる沙依が変貌して、中年の男の顔に変わった。
「……貴方は……誰ですか?」奏音が訊ねた。
「名前は筒川 玄蔵(つつかわ げんぞう)……この墓島に災いの呪物『玉手の匣(はこ)』を持ち込んだ張本人だ」
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