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恐らく学年に数人はいるであろう。嘘か本当か分からない話を得意げに話す人。それらの話は大抵、“また言っているのか”と思う程度で、聞き流されてしまう事が多いのではないだろうか? うちのクラスにいる霧山 蛍(きりやま ほたる)もまた、そのうちのひとりだった。彼女は誰も聞いた事のないような話を、いつも皆の前で話しては“本当だよ?信じてね!”と言っていた。 だけど私を含めクラスの皆は、ただ面白がるだけで本当には信じていなかった。もしかすると本当の話なのかも知れない。だけど自分の目に見えないものは、そう簡単には信じられない。 彼女には見えるらしい。そう言うのを霊感っていうのかな?私にはよく分からない。だって幽霊とか見たことないし...。でも、さっきの彼女の話だけは、何故かとても気になる。いつもは聞き流してしまうのに。私は、彼女の言葉が頭の中から離れなかった。 「夏の夜空に光る蛍はね、亡くなった人の霊なんだよ!蛍になって会いたい人の元に行き、最後の別れを告げるんだ...。」
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