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私は歩きながら、おばあちゃんに沢山のお話をした。勿論、蛍は何も答えてはくれなかった。だけど昔みたいに、おばあちゃんは優しく頷きながら、私の話を聞いてくれているような気がしたんだ。 そして話しながら、懐かしい当時の記憶もよみがえって来た。 「あのね?おばあちゃん、私、もうすぐ15歳になるんだよ!おばあちゃんは、覚えてる?毎年、私の誕生日にはケーキを焼いてくれていたよね?私ね、あのケーキ、大好きだったんだあ...。」 焼いたスポンジケーキの上に、とても甘いチョコレートクリームと真っ赤な苺でデコレーションされた大きなケーキ。白いチョコプレートには、いつも私の名前とメッセージをチョコペンで書いてくれていた。 「おばあちゃんのケーキ、もう一度食べたかったなあ...。」 私がそう言うと、蛍は再び私の胸元に止まり強い光を一度だけ発した。そして蛍はそのまま、滑り落ちるかのようにゆっくりと地面に落ちてその光を消した。 「おばあちゃん?」 私は、地面に落ちた蛍を手のひらに乗せたが、その蛍が再び羽を広げることはもうなかった。 そして気が付くと、私は家の前に立っていたのだった。 私は、庭の土にシャベルで小さな穴を掘って蛍を埋めた。そして、近くに咲いていた白い花をそっとその土の上に置きながら、心の中で呟いた。 「おばあちゃん、ありがとう...。」
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