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○廊下
ゾージーがアスナのあとを追ってくる。
ゾージー「協調性を持たないとだめじゃないか」
アスナ、先生から後づさりする。
アスナ「またそれか」
ゾージー「最近のお前おかしいぞ」
アスナ「いつもおかしいよ。君たちの価値観と比べてね。私はこの高校に入学前からこういうポリシーなんです」
ゾージー「……」
アスナ「じゃあ、聞きますけど、みんなで仲良くって、そう表現すれば美しいですけど、それって、個人の自由を制限しているだけじゃないですか。個人の自由がない関係がいいものですか。そんなもの、ない方かいいじゃないですか」
ゾージー「いや、仲間がいれば、きっと」
アスナ「仲間がいたって、何も得られないと思います」
ゾージー「いや、先生は仲間から助けてもらったことがある、消しゴムを借りたり、ティッシュを借りたり」
アスナ「でも仲間になるまでに、たくさんの我慢をしなきゃですよ。先生、あたなは損をしっぱなしの人生なんですよ」
チャイムが鳴る。
アスナ、腕時計をみる。
アスナ「申し訳ないのですが、普段なら下校する時刻になったんで、私帰りますね。先生、さようなら」
ゾージー「後片付けが……」
アスナを追おうとしたゾージーを、女子生徒が呼び止める。
女子生徒「先生、アスナはたいした用事はないって言ってますけど、アスナ、お母さんとの思い出の場所に行くんです。アスナのお母さん、3年前の、空が割れた日に死んじゃって、アスナの住んでいたグラゼもめちゃくちゃに破壊されてしまって、それで……」
ゾージー「あいつ、グラゼ出身だったのか……。それは悪いことしたかもな」
アスナ、玄関に放置してあった鞄を手にとり、学校をでる。
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