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○グラゼへの道
アスナ、鞄を持って歩く。
アスナ、賑やかな町の人々を見る。
手を繋いで歩く母と幼稚園児。
缶けりをしている男子小学生。
クレープを食べながらぺちゃくちゃ話す女子高生3人組。
アスナ(M)「一般の人間たちは、賑やかだな」
アスナと女子高生たち目があう。
アスナ、目をそらす。
アスナ「普通の人間と目なんか合わせてられるか」
アスナ、鞄から絵本を出して読む。
絵本に書かれている空には、雲があった。
アスナ「雲か……。雲ってどんなものなんだろう」
アスナは空を見上げる。
アスナ「雲っていうのは、きっと、もっともっと高いところじゃないとできないんだろうな」
アスナの見上げた空は、白い膜で覆われていた。白い膜は、ホログラムのようにわずかに光り、青色をしている。
アスナ(N)「今、私たちが住む地球では、空が白い膜で覆われている。地上300メートルくらいを、白い膜が卵の殻のように地球をまんべんなく覆っている。古代文明はこの白い膜がなかったから、空は無限に高く広がっていた。限りなく高い場所に雲はあったんだ。そして、空はこんな淡い青じゃなくて、もっともっとぎらぎらした青だ」
アスナは絵本を捲った。飛行機や宇宙船が描かれていた。
アスナ(N)「古代文明では、無限の高さで飛行機が飛べた。だから、人類は長距離移動が簡単にできた。そして、飛行機よりももっともっと高いところには宇宙というカオスな空間があった。宇宙には空気がなにもないらしい。人類は宇宙に旅行にもいけた」
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