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アスナは絵本をめくる。そこには、嵐や洪水の絵が描かれていた。
アスナ(N)「しかし、古代人は、嵐を恐れた。雷を恐れた。洪水を恐れた。人間がたくさん死んだ。その原因となる雲や、遥か上空をさえぎるために、地球を白い膜で覆ったのだ。宇宙になんか行っても息苦しいだけで、何の得にもならないからね」
アスナ市街の外へ出た。そこは砂漠が広がっていた。
砂漠に足を踏み入れるアスナ。
アスナ、砂で足が埋まりながらも歩きつづける。
アスナ「雲を発生させないようにした結果、毎日天気が晴れになり、トリニシア国のあちこちが砂漠になってしまった。」
アスナ、体勢を崩しながらも、力んで砂漠を歩く。
アスナ「晴ればかりだと気温も暑いし、砂漠は歩きにくいし、地球の自然は私みたいに性格がひねくれ回ってるな。もがいてやる、もがいてやる」
しばらく歩くとラムネ屋があった。そこには、おばちゃん(60)とラクダが3匹いた。
アスナ、お金を丁寧におばちゃんに渡した。
アスナ「おばちゃん、ラムネくださいます?」
おばちゃん「あなた、おしとやかなのね」
おばちゃん、ラムネを渡す。
渡された瞬間、アスナは一気に飲み干す。
アスナ「はー、はー、死ぬところだった」
おばちゃん「一気に血相かえなくてもいいでしょうに」
アスナ「我慢してたんだよ」
おばちゃん「あんた、ひとりかい」
アスナ「友達とか、不必要なんで」
おばちゃん「さっき、あんたと全く逆のこと言ってた客来たよ。会う人はみんな友達だっていう青年が」
アスナ「そいつ馬鹿。少年漫画の読みすぎ。私はひとりが好きなのね」
おばちゃん「じゃあ、ラクダはいらないね。歩いていきな」
アスナ、冷や汗を流す。
アスナ「ラクダは友達じゃない。だから、一緒にいてもいいのだ」
アスナはお金を置いた。
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