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驚く俺を見て司さんは笑った。
「ああ、しかも一卵性のな。翼って言うんだけどねえ・・お前の気持ち弄ぶだけ弄んで自分は別の女と結婚するってゆう実際にありえそうな展開過ぎて色々ホラーだったねえあれは・・」
「・・え、じゃあ俺夢ん中で翼さん選んでフラれるんすか?」
「ん・・まあそうだねえ・・アイツの部屋で泣いてたわ」
「・・司さん、夢の中の俺の事慰めてくれたんすか?」
「え・・ああ、まあ」
それを聞いて思わず顔がほころぶ
「司さんってどこでも俺の事守ってくれるんすね」
「拓海・・」
「なんかそれが嬉しかったです」
「お前がそうゆう風に思う奴で良かったよ」
「え?」
「ちょっと昔話するけどいいか」
「昔話?」
司さんはうつぶせにになり枕の上に腕をやり、そこに顎をのせるとため息一つ。
「・・俺の元奥さん、元は翼に惚れてたんだが・・顔が同じで俺の方が仕事も安定してるって理由で俺に近づいたらしくてな。結婚はしたはいいが子供に恵まれなくて・・結局アイツと俺は違うわけだから・・裏で弟と浮気して子供作られて・・色々あったなあ・・」
穏やかなその声とは裏腹に珍しく司さんの身体は少しだけ震えていた。
「司さん・・」
「お前と仕事帰りに飲みに行ったとき、女性恐怖症だって聞かされて・・『コイツ、この歳で俺と同じなのか』って思ったら・・元々気にはなってたけど・・守ってやりたいって思うようになってたよ・・」
俺の方を見て・・どこか照れくさそうに笑う司さん。
・・司さん・・そういや・・初めて飲みに行ったとき・・確かにずっと俺の話聞いてくれてたな・・
「司さん・・大丈夫っすか?」
「ん?どうして?」
「・・いや、俺夢んなかだとしても弟さんに惚れるとか・・なんか不安なこととか・・」
それを聞いて司さんは吹き出した。
「なんでそこで笑うんすかっ」
くしゃくしゃにまたそうやって頭撫でて・・意味わかんないっすよ・・
「・・そんだけ拓海の事誰にも渡したくないんだよ俺は」
「え・・?」
「拓海は優しいのと・・イジワルなの、どっちが好き?」
「・・司さんならどっちでも好きです」
「そりゃ良かった」
司さんは、たまに凄くイジワルだけど・・最後は優しくしてくれるって知ってるから、俺は司さんにギュッと抱きついた。
「やっぱりこんな可愛い子、誰にも渡せないねえ・・」
完。
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