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「・・ネクタイ、しわになる」
「いいでしょ別に。別れた彼女からのじゃないコレ?・・誕生日、一緒に選んでほしいっていわれたから良く覚えてる」
っ・・
少し声色が暗くなった
そして合い鍵を取り出しちらつかせる。
「『彼女が使わないなら俺がもらっていい』って聞いたとき、兄さん頷いたよね?・・兄さんはさ、俺が兄さんに対して特別な感情持ってるの知ってたはずだよね?・・知らないなんて言わせないよ。」
俺は顔を逸らしたままだ。
「コレ渡されてから兄さん俺から距離置くようになったよね。なんで。なんで俺の気持ち知っといてそんなことするんだよ」
・・・・。
「・・何で黙るの。まだ酔ってる?」
話の最中も弟は挑発するかのように身体を密着させてくる。
しかし、ぴたりと止めた。
顔を背けたままの俺は弟の様子が気になり恐る恐る弟の顔を見る
「やっとこっち見てくれた・・丁度いいよね。どうせ酔ってるんだしさ。」
弟は口調とは真逆の、今まで見たことのないやるせないような、そして悲しい表情を浮かべていた
「・・ヒドイ事、してもいいかな」
再び俺へとのびてくる手。
「触るなっ・・」
俺に触れる手だって・・、あのいつもの優しさが感じられない・・
恐い・・嫌だ・・やめて・・頼む・・っ
そんな気持ちは今のこいつには届かない・・
「どうしてなの・・」
「こんなこと・・やめてくれ・・っ」
「・・なんで俺の事、拒むの?・・なんで俺はダメなの?」
こんな・・こと・・やっぱり間違っている。
最初から分かっていた。
もっと早く引き離すべきだったんだ・・
「なあ、頼む・・頼むからもう・・昔に戻ろう・・こんなこと、するなんて・・おかしいっ・・」
それでも弟はやめようとしない。
止めてくれない。
聞こうとしてくれない。
嫌だ・・こんなの、いやだ・・もうこれ以上、苦しみたくないっ・・
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