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そんな大好きな兄さんのことで、昔から不思議に感じていたことがあった。
それは兄さんの恋愛思考。
兄さんは頭は良いが、ぶっきらぼうで人と接するときはどこか素っ気ない。
だから自分から女の子に声をかけることなどめったになかった。
でも、なにせ容姿が良かった。
さらに他の男子より口数が少ない分、当時は周りからすれば大人びて見えたのだろう。
何時の時代もそうだが、兄さんはスポーツ系男子に対しての秀才系男子として女子からの人気があった。
だが、困ったことに兄さんは付き合って欲しいと言われればこくりと誰でも首を縦に振る。
でもただそれだけ。
なにも彼氏らしいことをしない兄さんに不満を持った彼女は離れていった。
当時の俺は、そんな兄さんをよくからかっていた
『兄ちゃんまたふられたのかよw』
兄さんに彼女が出来れば不安になり、兄さんを取られまいとさらにあとをついてまわっていた。
だから別れたと知ればその日は兄さんをからかったり、なぐさめてみたりと「お前、ホントに俺のこと好きだよな」と最後には笑って俺の頭を撫でてくれた。
けれど、大好きな兄さんとの間を遮る大きな壁が後に現れた。
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