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「……」
じわじわとやって来た羞恥心を早く忘れ去ってしまうには、今どうしたらいいんだろうと天井を眺めていて……はっとした俺は身を起こした。
朝倉がくれた、あの紙。
ベッドから身を乗り出して床のバッグを取り、内側のポケットにしまっていた紙をかさかさと音を立てながら開けた。
「……え……」
その内容に、どきんと胸が高鳴る。
そこには地図と、朝倉の住まいだろうか……アパートの名前と部屋の番号、そして電話番号まで記されていた。
朝倉メモは、綺麗な字でこう締めくくられている。
『朝倉お悩み相談室。何かあったら気軽に連絡してね』
「……どういうつもり?」
朝倉の突飛な行動に唖然としても、俺の体は自然と動いていた。
一階に下りて、受話器を取り上げる。
――不思議と、躊躇いはなかった。
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