第1章

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が── 「あの森ですか」 隣にいる袋狼が不安げに見つめてきた。 と、森から黒い猫が現れ、私は…安堵した。 「久々です…黒 森へ…入れてくれませんか?」 シャラシャラと音をさせる黒猫は一声泣くと… 先頭を歩き出した。 これで…いい。行ける。 と、僅かに血の香りと様々な声に足を止め、身を隠した。 これは… 「バーミー! バーミー! ああ……お願いよ、返事をして!」 「……レイ……ラ……」 苦しげに顔を歪めながらも、歯を食いしばり、痛みに耐えている青年。 「バーミー、大丈夫よね? いつも、怪我したって平気だったもの……、こ、今回も、すぐに治るわよね?」 傍らにいて、泣きそうな少女。 「レイラ姫…」 思わぬ再会をしてしまった。 物影にいるから気づかれていないが… 「ああ、近づきすぎた…」
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