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自身にため息を吐きながら、同じく心配しているカンテラを遠目に見て…呟いた。
「懐かしい…顔」
かつて、突然の雨の時にわざわざ傘を立ててくれた男に似た面影に胸が高鳴る。
が、今は…
「おい…人間」
先程、青年を刺した奴を睨む。
「リルヴィに言え。
貴様の真名は預かると…」
真名を握られた人間は何日も動けない。
それは、それは体を裂かれる感覚になるようだが、知らない。
やつは動き過ぎる。
「仕方が…ないか…
やつは…ある村で生け贄にされて…
今ごろは居ないはずの…やつだからな」
精霊以外、知らないリルヴィ…と言ってもいいが…その為にも、その為にも──
カンテラ達と話をすれば…奴は人を見直すかもしれない。
奴は人に恐怖を…抱いていたりする。
それを現すように、リルヴィは人とは手を交すことはない。
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