新人さんお手柔らかに

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「敵わないなあ……」 「え?」 「私、たぶん坂崎には一生敵わない気がする。 嶺川さん、いきいきしてるもの。 ……私は、あなたを追いつめるばかりだった」 「そんなこと……。 紺野さん、私は紺野さんと働きたいんです。 紺野さんに一日でも早く仕事で認められたい」 嶺川さんにそう言われて、体の奥から嬉しい気持ちがじわじわと湧き上がってくる。 「うん、私も。嶺川さんと働きたい。 ありがとう、嶺川さん……」 「あ、もう一つお願いが!」 嶺川さんは慌てて顔を上げた。 「私のこと萌乃って呼んでくれませんか? 前から思ってたんですけど、矢野さんばっかりあだ名呼びで、ズルい!!」 ぷうっ、と頬を膨らませる嶺川さんが可愛くて、思わず吹き出してしまう。 「そうよね、わかった。 これからよろしくね、萌乃ちゃん」 はい! と、萌乃ちゃんは花がほころぶような笑顔で私に答えてくれた。
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