新人さんお手柔らかに

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日差しが初夏を思わせる金曜日。 今日は4月にしては気温が高く、外に出れば汗ばむほどだ。 いよいよ明日からGWに突入する。 今日を乗り越えれば、久しぶりの三連休が待っている。 オフィスにいても、みんな明日からの休みに少しだけ浮き足だっているように感じた。 あれから、嶺川さんは自分なりに頑張っていた。 いずれは彼女に任せようと思っていた得意先から、一件注文をとることができ、「少しだけ自信がつきました」とも言っていた。 「嶺川さん、今日も得意先回りするから、サンプルを営業車に積んでおいてくれる?」 「……はい、わかりました」 私が差し出したメモに手を伸ばす、嶺川さんの細い指先が少し震えているのに気がついた。 「嶺川さん大丈夫? ひょっとして、具合悪い?」
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