Ruin

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「あの、オレたちはどうすれば……?」 立ち去ろうとする孫の背中に修が不安気に問い掛ける。 ここで目が覚めた時に長井から自分を誘拐したワケの説明は受けていたので、ウメノにも彼の不安の原因は分かってはいた。 だが、だからといっておとなしく心臓を差し出す気になるはずもなく、それどころか同情する気も湧いてはこない。 「ああ、別になんもせんでええよ。ボクがちゃあんと純度の高いシード作ってきたるから泥船に乗ったつもりでおってや。って、泥船やったら沈むやん!!」 一人でボケとツッコミそれから笑いまでを完結させると、男はカランカランと下駄の音を響かせながら部屋から出ていった。 「修さん、それから他のみなさんも部屋から出ていてもらえますか」 長井の口調は柔らかい。 だがケダモノたちに向けられた視線は射すくめるようだ。 チッと聞こえよがしの舌打ちが返るが、それでも男たちは黙って部屋から出て行った。 他の者がいなくなってから、長井は自分のブレザーを脱いでウメノに掛ける。 「ごめんね、こんなことになって」 言葉だけでなく心底からの謝罪のようだ。 放っておくと自分を誘拐したことへの謝罪までもを言い出しそうな気がして、ウメノは彼を睨みつける。 だが長井は間を置くかのように深いため息を吐いてから、からりと調子を変えて口を開く。 「お腹空いたんじゃない? コンビニのだけど食べる物買ってきたよ。本当はセブン・ライフズのアメリカンドックがお気に入りなんだけど。あの油の古そうな体に悪い感じがなんだか逆にハマるんだよね」 だけど、その後に続く台詞を口にした時の笑みはやはり後悔に彩られているかのようにすごく寂しげで、ウメノはその顔を見まいと目を固く閉じた。 「まあもう食べれる機会はないんだろうけど」 ――to be continued
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