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伊達
「あっ、あぁ、そうだな…………。1年C組、『真田 朝陽(サナダ アサヒ)』。俺の『彼女』になってくれ!」
朝陽
「いえ、無理です!俺、『男』なんで!んじゃ、失礼しましたーっ!!」
早口でそれだけ言って、俺は『回れ、右』で、ダッシュで逃げた。今なら、全国大会の新記録樹立さえ、出来そうな勢いで!
朝陽
(『彼女』っつったか?いっぺん、死んでこぉーーーいッッ!!)
本人に、面と向かって言うような『勇気』は、流石にない。だから、心の中で『絶叫』した。
朝陽
(………どうせ、『興味本位』だろうし。また『裏切られる』のは、嫌なんだよ。)
走った所為で、荒くなった息を整えながら、バイト先のスタジオへ向かう。瞳を閉じれば、浮かぶのは、最愛の元・恋人『武田 未雪(タケダ ミユキ)』の笑顔。俺の名を呼ぶ、優しい声。
顔良し・頭良し・性格良しの『三拍子』が揃ってると思ってた。でも、その『性格』は、上辺だけのものだった……………。
ー中学に上がるまで、イギリスにいた俺は、当然、『日本語が下手』だった。クラスメイト達は、そんな俺を遠巻きに見ているだけで、俺は『浮いた存在』になっていた。
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