ー 平凡の日々 終了 ー

4/5
前へ
/99ページ
次へ
 一方。俺の2歳上の兄『陽月(ヒヅキ)』は、『社交的』な性格の為、問題なく溶け込んでいた。そんな中、兄のクラスメイトで、当時『生徒会長』だった未雪だけが、屈託なく、笑顔で俺に話し掛けて来てくれたんだ。  それが例え、浮いた生徒を放っておけないと言う『生徒会長としての責任感』だったとしても、俺は嬉しかった。片言しか喋れない俺に『話相手』と呼べるのは未雪だけしかいなかった。  だから。未雪から『年上だけど、付き合ってほしい』と言われた時は、口から心臓が、飛び出すかと思ったほどだった。  平凡(変装だが)で、背も低くて、割と細身な俺を『好き』だと言ってくれる未雪を信じ、毎日が楽しくて仕方なかったのに………。     ー『あの事件』が、起きるまではー  あの日。俺は未雪に『裏切られ』、身も心もボロボロにされた。そして、俺は未雪から逃げるように、小中高一貫の『全寮制男子校』である、この『御影学院 中等部』に、『離れたくない』と駄々をこねる兄と共に、中途編入して、今に到ると言うわけだ。  いかんいかん。やけに『説明的』だった割に、『肝心なこと』は、わからずじまいだったか。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加