ー 朝陽と陽月 2人の本心 ー

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 己が愛し・愛される『たった1人の人』。こずさんと蒔さんにとっては、それが『お互い』だっただけ………。 朝陽 (……………『未雪』がそうだと、思ってたんだけど、そう思ってたのは、俺だけだった………。)  今よりも『子供』だったけど、俺にとっては、生まれて初めての『本気の恋』だったから、忘れられない……………どうしても。 陽月 「………あーちゃん、また『アイツ』のこと、考えてるの?お願いだから『そんな表情(カオ)』しないで。」  哀しそうに顔を歪めながら、そう言う陽月に、俺は『ハッ』と我に返った。すると、戒斗も、心配げに俺の顔を覗き込んでいた。  そして。離れた席に座っていた『あの人』の視線も、痛いほど感じていた。あれからずっと、学院内にいる時は、『あの人』の視線を感じる。……………授業中でさえも……………。  恐らく、屋上からでも見ているのだろう。1年C組の教室は、屋上からよく見える位置にある。まぁ、その場合、伊達さんが授業をサボっていることになるが……………。 朝陽 (俺の所為で、『あの人』が授業をサボるってのは、先生方に申し訳ない気が…………。)
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