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「だけど、おもしろいな。それほど優れた軍人が、自分では軍に入りたくなかったなんて。案外、向いていない人間のほうが進駐官にはいいのかもしれないね」
冗談ではない。それでは自分も進駐官に向いていることになってしまう。
「いや、ぼくは違うから。ぜんぜんこの仕事は向いてないよ。やる気だってないし」
ディスプレイでは逆島中将の話が続いていた。着弾が近かったようだ。窓の外に黒煙が流れている。
「炸薬(さくやく)の臭いは嫌なものだな。このメッセージをおまえに託(たく)すのは、お兄ちゃんたちはすでに進駐官養成高校に入学しているからだ。あそこは信頼できる場所ではない。あまりに近衛四家と作戦部の力が強すぎるからな」
父が渋い顔をした。他の近衛四家と進駐軍のエリート中のエリート・作戦部となにかあったのだろうか。
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