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タツオは狭いブースで立ちあがっていた。断じて、今の言葉はおかしい。
「ジョージ、聞いたか」
さすがに天才児で、ジョージはすでにタツオの衝撃の理由に気づいていた。
「ああ、驚きだ」
タツオは思い切り握った拳(こぶし)を震わせていた。そんなはずがなかった。父の逆島靖雄中将は作戦部の命令に逆らって、ウルルクの王家に同情し、軍令を破って自らの部下とともに玉砕した。近過去の歴史については、それで決着がついている。だからこそ、逆島家は責めを受け、近衛四家からはずされ、没落(ぼつらく)していったのではないか。
あの首都攻防戦とその敗北が、進駐軍の正規の命令であったなら、父は英雄と讃(たた)えられても、軍規違反の逆賊(ぎゃくぞく)と罵(ののし)られることはなかったはずだ。怒りで火がついたように全身が熱くなった。誰かに父ははめられたのだ。逆島家はどこかの勢力に、背後から刺されたのだ。真実が別にあるのなら、許されるはずがなかった。
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