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首都攻防の激戦の最中なのだろう。砲撃の音が連続して周囲を揺るがし、逆島(さかしま)中将の声は何度も断絶した。衝撃でビデオカメラが揺れて、画面も船酔いしそうなくらい上下左右にぶれている。 「このメッセージを見るとき、断雄(たつお)はいくつになっているのだろうな。おまえがなにをしてもいいが、進駐官にだけにはなっては駄目(だめ)だ。お父さんみたいになるぞ」  父は笑って、うなずきかけてくる。 「お父さんも若いころは、おじいちゃんに逆らって別な生きかたを探したものだ。冒険家もおもしろそうだな。旅が好きだから、旅行作家もいいなと思っていた。断雄と同じで、けっこうハンサムだったから、俳優になろうかと迷ったこともあった。学生時代に一度舞台を踏んだこともあったんだ」  早くそこから逃げてくれ!  タツオは薄暗いネットカフェのブースで叫びそうになった。なにをのんきに昔話などしているのだろうか。このあと父がどうなったかタツオは知っているのだ。
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